2019年12月2日、3日、第1回『禅寺で学ぶあぐらAtsuとセラピストの為のトレーニング講座』が無事開催されました。お世話になった禅寺宿坊は埼玉県飯能市の曹洞宗正覚寺様。山の中にあり寒さが心配されましたが、お寺の方のご厚意によりストーブを何台も出して下さり10月に伺った時よりもヌクヌクと温かく過ごすことができました。
限定4名様の宿坊体験セラピスト研修。遠くは三重県、愛知県、そして関東からは神奈川県、埼玉県と様々な場所から遥々お越し下さいました。
最寄り駅から路線バスで50分ほど揺られて到着するお寺です。が、紅葉の美しさとせせらぎの美しい川沿いの道に小旅行気分を味わいながらお越し頂けたようです。
宿坊に隣接する広々とした会館をお借りして、到着早々にまずは『セラピストの為のトレーニング講座』をパーソナルトレーナーの若菜さんとコラボでスタート。
セラピストとして自分の身体を使いこなし、長くこの仕事に従事するために、そして安定感のある技術習得を目指すことに特化してのレッスンです。
13時に集合して、座禅は17時から。普段の講座時間よりもゆっくり出来る分、若菜さんが説明するパーソナルトレーナーとしての身体の使い方の講義とセラピストとしての身体の使い方の講義を織り交ぜながら進めました。
『なぜそのトレーニングが必要なのか』という事や、人によっては筋肉を鍛える前に『関節や筋肉をまず緩める』事が大事だったりと、小人数ならでは指導を若菜さんにして頂きました。
ニュートラルポジション(優良とされる姿勢)を基礎としながら、自分の身体を振り返り、色々と体感していただきました。お客様にもセルフケアとしてお伝え出来る事も満載です。
私事ですが、スクールを主催する理由は『セラピストという仕事を通じて人生を豊かに誇りに思える人を増やす』ためです。
自身がセラピストという仕事に沢山の喜びを与えていただいたので、それを共有できればと思ってこの仕事を続けています。
その為には、まず自分自身が健康であること、心身が安定していること、技術が上手であること、自分を大切にしていること、沢山の気づきを得られる日々を送っていること、などなど沢山あるのですが…(笑。
それを目指すひとつの訓練法として、このトレーニング講座を若菜さんに依頼しました。(次回は12月17日開催です)
禅寺でのセラピスト研修も、この想いに通じる事がきっと沢山あるだろうと思い、ずっと開催したいと願っていました。
余談ですが、お寺での座禅は40分間。身体を座禅前にしっかり動かしておくと、身体の余計な力が抜けて、より自身の内側に向き合う事ができる…と本で拝読しました。
長時間の同じ姿勢で緊張する体を最初に緩めておくことで、怪我の防止につながり、より集中していただけるのでは…と思っての、まずはトレーニング講座からの構成です。
今回初めての座禅をされた方もおり、各々、ご自身に向き合われておられる様子が主催者として感慨深かったです。
『お寺というところはそんなにお話をする場所ではありません。お話を少なめにしてゆっくりと自分と向き合う時間を過ごされてください』という正覚寺の和尚さんのお言葉通り、今回は皆さんにゆったりと静かに過ごして頂きました。
お寺には三黙道場という、話をせずに自分と向き合う場所があります。
『東司(とうす)』と読むいわゆるトイレ、『お風呂』、『本堂』。本堂でお食事しますので食事中も話はせずに頂きます。
精進料理は、ひとくちを口に運んだら箸を置いて、食事の恵みを味わって頂きます。口の中のものが無くなったら、次のお椀からまたひとくち頂くのを繰り返し。
とても時間が掛かりますが、この所作を繰り返していると、普段いかに自分が『ながら食べ』をしているかという事。
しっかり味わうことなく急いで食事しているという事が感じられます。
ひとくちずつ、味わって頂くと心も体も頭も満足します。生きる事は食べる事。じっくり頂ける時間があることが贅沢で幸せだと感じたと仰る方もおられました。
そして入浴後、21時に就寝。皆さん、お布団を並べてお休み頂きました。早く寝る事で、翌日の身体がスッキリしている!と感じてくださったようです。
翌朝…。
5時起床、6時から座禅です。
朝の固まった身体をしっかりほぐして座禅に臨む為に、5時30分から若菜さんにお願いしてストレッチや筋肉のリリースをレクチャーしてもらいました。
12月の朝6時はまだ夜明け前。うっすらと空が白み始めて日差しが差してくる中での座禅はとても清々しく感動的でした。
座禅の後は、和尚さんが色々なお話をして下さいました。歴史の話から時事問題まで。多岐に渡るお話とお茶目なところも垣間見えて楽しく勉強になりました。お坊さんのお話をじっくりと心を傾けて聞くというのも、傾聴の訓練になります。
その後、お世話になったお部屋やトイレ、浴室の清掃を手分けして行い、清めてからの朝食。朝のお粥は体に染みわたり心から美味しく感じられました。
2日目は素晴らしい青空。紅葉も更に美しく映えていたので、少しだけ自由時間にして散策など各々のんびり過ごして頂きました。
お寺のラブラドールレトリバーのワンちゃんと触れ合ったりと、河原で水に触れたり、のんびり紅葉を眺めたりと、早朝座禅の後だからこそ、見える景色が違って見えたと仰る方もおられました。
感じる…というトレーニングで、今回、特にお勧めだったのが写経。写経は筆ペンで般若心経のお手本に薄紙を敷いてなぞります。
筆先は柔らかいので、圧の加減を調整が必要です。そして、やり直しは出来ませんので、筆を紙に触れる前に手や腕、身体を安定させ、スッと書き始める意識を持ちます。
そして約1時間弱の写経。集中力がいります。ポカポカの室内、そして早起きと満腹感で気が付くと、ベシャっとなっている字が…(;'∀')。
これは、施術の意識と通じています。こころを調え、からだを調え、そして息を調える、まさに『調身・調息・調心』です。
宿坊での体験、ひとつひとつがセラピストという仕事の在り方に繋がっている、それを今回皆さんと体験したかった事でした。
写経後は、再び隣接した会館へ。
『あぐらAtsu』の技術講座です。
あぐらAtsuは『触れる禅』ジャパニーズオイルセラピーAtsu®のオイルを使用しないドライテクニックです。いつでもどこでも、こころとからだをつなぐセラピーを、との思いで考案しました。
その為にはセラピストさんのタッチマインドを共有認識したいと思い、まずは『触れる』をテーマにお話ししたり、体感して頂いたりしました。
その後、昼食をはさみ、あぐらAtsuの実践へ。
クライアントさんにあぐら姿勢になって頂くのは、いくつか理由があります。
クライアントさんに『立腰(りつよう)』という腰を立てて座る事で心身が安定するという事。ニュートラルな姿勢を感じてもらう事。腰を立てる事で、丹田に意識が向き精神力がアップするともいわれています。
そして、このあぐらAtsuは、セラピストさんが高い位置から圧を加えられるのが特徴です。『強くしなきゃ!』や『圧をしっかりかけなきゃ』という意識を捨てて、ふんわりと優しい重みで圧をじっくりかけられる、というセラピストさんの身体にも優しい施術なのです。
丁寧に、ゆったりと触れ合うあぐらAtsuは『ふたりで行う座禅』のようなもので、終わった後はすっきりと、身体がポカポカしていると感じて頂けたようです。
肩から上、頭部への施術ですが、足先まで温かくなる方も少なくありません。あぐらAtsuでしっかり身体をゆるめて頂き、2日間にわたる禅合宿は幕を閉じたのでした。
参加者の皆様よりご感想を頂きましたので、また改めてご紹介させて頂きます。さすがに感覚を生業としているセラピストさんだけあって、感覚がどんどん研ぎ澄まされいく様子や、豊かな表現力に、私自身大変強になりました。
改めまして皆様、記念すべき第1回目の禅寺研修にご参加下さり誠にありがとうございました!至らぬ点もあったと思いますが、温かくご一緒に過ごして下さり心より感謝申し上げます。
そして…2020年もこの禅寺宿坊研修を開催します!
現在、4月の第一週、そして11月月末を仮予定しています。ちょうど新緑の時期、そして紅葉の時期と山々が美しい時期ですね。
早めに日程をご案内しますので、是非ご興味ある方はご参加お待ちしております。限定4名様予定です。
改めて細やかなお気遣いをしてくだった正覚寺の和尚様、奥様、ありがとうございました!そしてパーソナルトレーナーとして講師、運営をサポートしてくれた若菜さんに感謝いたします。
また飯能でお会いできるのを楽しみにしております!